2025.03.21

法人向けWi-Fi環境の導入ガイド:光回線引込み工事から設定まで徹底解説

無線でインターネット

目次

新規で法人を立ち上げたばかりの企業様や、社内のネットワーク環境の整備を検討されている中小企業様にとって、Wi-Fi環境の構築は重要な課題です。しかし、光回線の引込み工事やWi-Fiルーターの選定、ひかり電話との連携など、専門知識がなければ難しく感じられるかもしれません。ここでは、法人向けWi-Fi環境の導入手順から工事の流れ、ひかり電話との同時利用方法、そして効率的なネットワーク構築のポイントまで、初心者にもわかりやすく解説します。

法人向けWi-Fi環境の基礎知識

法人向けWi-Fi環境を構築するには、まず光回線などのインターネット回線を引き込み、その上でWi-Fiルーターを設置するという流れになります。個人利用と異なり、法人利用では同時接続数セキュリティ対策がより重要です。

また、社内LANやひかり電話などの固定電話サービスと連携させることで、ビジネスの効率化が図れます。Wi-Fi環境があれば、オフィス内の配線を減らせるだけでなく、タブレット端末やスマートフォンを活用した柔軟な働き方も実現できます。

光回線とWi-Fi環境の関係性

Wi-Fi環境を構築するには、まずインターネット回線が必要です。法人利用に最適なのが光回線です。光回線は高速かつ安定したインターネット接続を提供し、多くの従業員が同時に利用しても快適に作業できます。

光回線は、通信事業者が提供する光ファイバーケーブルを建物内に引き込むことで利用できます。このケーブルはとても細く、データを光の速さで伝送するため、従来の銅線ケーブルに比べて格段に高速です。

光回線が引き込まれると、「ONU(光回線終端装置)」と呼ばれる機器が設置されます。これはインターネットへの接続点となる重要な機器です。ONUからは有線LANケーブルが出ており、ここにWi-Fiルーターを接続することで、有線のインターネット環境を無線に変換できます。

つまり、Wi-Fi環境の構築は「光回線の引込み→ONU設置→Wi-Fiルーター接続」という流れになります。Wi-Fiルーターを介することで、ノートパソコン、タブレット、スマートフォン、プリンターなどさまざまな機器をケーブルなしで接続できるようになり、オフィス内の作業効率が大幅に向上します。

法人利用に適したWi-Fiルーターの選び方

法人利用に適したWi-Fiルーターを選ぶ際は、個人向けとは異なる観点が必要です。まず最も重要なのが同時接続可能台数です。中小企業でも従業員のPC、スマートフォン、その他IoT機器などを考慮すると、最低でも20台以上の同時接続に対応したモデルを選ぶべきです。

次に重視すべきは通信速度と安定性です。現在の主流規格は「IEEE802.11ac(Wi-Fi 5)」または「IEEE802.11ax(Wi-Fi 6)」です。特にWi-Fi 6は多数の機器が同時接続する環境に適しており、法人利用には推奨できます。また、デュアルバンド(2.4GHzと5GHzの両方に対応)やトライバンド対応モデルを選ぶと、接続機器を分散させて安定した通信が可能になります。

セキュリティ機能も法人利用では重要です。最新の暗号化方式「WPA3」に対応したモデルや、ファイアウォール機能、VPN機能を搭載したモデルが望ましいでしょう。

さらに、管理機能も確認しましょう。アクセス制限やゲスト用ネットワークの分離、帯域制御機能などがあると、業務用とゲスト用のネットワークを分けるなど、柔軟な運用が可能になります。

最後に、サポート体制も重要です。故障時の対応が迅速で、ファームウェアの更新が定期的に行われるメーカーを選ぶことで、長期的に安心して利用できます。

【参考サイト】https://flets.com/first/wifi/

ひかり電話とWi-Fiの同時利用について

ひかり電話とWi-Fiは問題なく同時に利用できます。むしろ、両方を統合することで通信環境を一元化でき、管理の手間やコストを削減できるメリットがあります。

ひかり電話は光回線を利用したIP電話サービスで、従来のアナログ回線よりも通話料が安く、高音質な通話が可能です。光回線を引き込む際に同時に申し込むケースが多く、ONUにひかり電話対応のアダプター機能が内蔵されているか、別途アダプターを接続して利用します。

Wi-Fiとひかり電話を同時に利用する場合の接続構成は以下のようになります。

「光回線引込み口→ONU(ひかり電話機能内蔵)→Wi-Fiルーター→各種無線機器」

または

「光回線引込み口→ONU→ひかり電話アダプタ→Wi-Fiルーター→各種無線機器」

この構成により、オフィス内のインターネット環境と電話回線を一つの光回線で賄うことができ、配線もすっきりします。また、多くの光回線事業者では、インターネットとひかり電話をセットで契約することで割引が適用されるため、コスト面でもメリットがあります。

さらに、最近の法人向けIP電話サービスでは、スマートフォンアプリと連携させることで、社内のWi-Fi環境を利用して外出先からでも社内の内線電話として利用できるサービスも登場しています。テレワークやリモートワークにも柔軟に対応できます。

項目 内容 主なポイント 推奨/注意事項
光回線とWi-Fi環境の関係性 ・Wi-Fi構築の前提としての光回線
・構築の基本的な流れ
・光回線の特性と優位性
・「光回線の引き込み→ONU設置→Wi-Fiルーター接続」の流れ
・光ファイバーによる高速データ伝送
・ONUは接続点となる重要機器
・多くの従業員の同時利用に最適
・ケーブル不要で多様な機器に接続可能
・作業効率の大幅向上
法人利用に適したWi-Fiルーターの選び方 ・同時接続台数
・通信規格と速度
・セキュリティ機能
・管理機能
・サポート体制
・最低20台以上の同時接続に対応したモデル
・Wi-Fi 6(IEEE802.11ax)推奨
・デュアル/トライバンド対応
・WPA3暗号化、ファイアウォール機能
・業務用・ゲスト用の分離機能
・帯域制御機能があると柔軟な運用可能
・ファームウェア更新が定期的なメーカー選定
ひかり電話とWi-Fiの同時利用 ・統合による一元化のメリット
・接続構成の基本パターン
・IP電話の特徴と利点
・光回線を共有して配線をすっきり
・セット契約による割引適用
・高音質な通話と安い通話料
・スマートフォンアプリとの連携可能性
・接続構成:「光回線→ONU(電話機能内蔵)→Wi-Fiルーター」または「光回線→ONU→電話アダプタ→Wi-Fiルーター」
・テレワーク対応の柔軟性
【参考サイト】https://bb-navi.jp/west_service/hikariportable.html
【参考サイト】https://flets.com/hikaridenwa/service/option.html

Wi-Fi環境の導入手順と工事の流れ

法人向けWi-Fi環境の導入には、計画から工事、設定まで複数のステップがあります。まず、自社のニーズに合った回線事業者とプランを選定し、適切なWi-Fiルーターを決定します。その後、回線の申込みを行い、工事日を調整します。工事当日は、建物への光回線の引込みからONUの設置、Wi-Fiルーターの接続と設定まで行われます。

特に重要なのは事前の計画段階で、オフィスレイアウトを考慮したアクセスポイントの配置や、必要な通信速度の見積もりを適切に行うことです。

導入前の計画と準備

Wi-Fi環境を効果的に導入するためには、事前の計画と準備がとても重要です。まず、自社のニーズを明確にすることから始めましょう。具体的には以下のポイントを検討します。

  1. 接続する機器の数と種類(PC、スマートフォン、タブレット、IoT機器など)
  2. 同時接続する可能性のある最大台数
  3. 主な用途(Web閲覧、クラウドサービス利用、ビデオ会議、大容量ファイル転送など)
  4. オフィスの広さと構造(壁や障害物の位置、フロア数など)
  5. セキュリティ要件(機密情報の取り扱いレベル、ゲスト用ネットワークの必要性など)

各情報を基に、必要な回線速度やWi-Fiルーターの性能、アクセスポイントの数と設置場所を決定します。オフィスが広い場合や壁が多い環境では、複数のアクセスポイントを設置するメッシュWi-Fiシステムの導入も検討しましょう。

また、将来の拡張性も考慮することが重要です。従業員数の増加や新しいデジタルツールの導入などを見据え、余裕を持った設計にしておくと、後々の追加投資を抑えられます。

導入コストについても事前に試算しておきましょう。初期費用(回線工事費、機器購入費など)と月額費用(回線利用料、保守サポート料など)の両方を考慮した上で、適切な予算配分を行うことが重要です。

光回線の引き込み工事の流れ

光回線の引込み工事は、法人向けWi-Fi環境構築の最初のステップです。工事の流れを理解しておくことで、スムーズな導入が可能になります。一般的な工事の流れは以下の通りです。

まず、事前調査が行われます。通信事業者または工事業者が現地を訪問し、建物の構造や既存の配線経路、光回線の引込み位置などを確認します。この段階で、工事に関する制約や追加工事の必要性が明らかになります。

工事当日は、まず外部工事から始まります。電柱や地下の配管から建物までの光ファイバーケーブルの敷設作業を行います。建物の壁に小さな穴を開けて引込み口を確保することが一般的ですが、建物の構造によっては既存の配管や通気口を利用することもあります。

次に内部工事に移ります。引込み口から目的の場所(サーバールームやオフィススペースなど)まで光ファイバーケーブルを配線します。このとき、美観や安全性を考慮して壁や天井の中を通したり、モールで保護したりします。目的の場所に達したら、ONU(光回線終端装置)を設置します。

最後に開通確認と動作テストを行います。ONUが正常に作動し、インターネットに接続できることを確認します。ひかり電話を同時に申し込んでいる場合は、電話機を接続して通話テストも行います。

工事時間は建物の状況によって異なりますが、一般的には2〜4時間程度かかります。複雑な配線が必要な場合や、複数フロアにまたがる工事の場合はさらに時間がかかることがあります。また、ビルやテナントの場合は管理会社の立ち会いや許可が必要なケースもあるため、事前に確認しておきましょう。

Wi-Fiルーターの設置と設定

光回線の引込み工事が完了し、ONUが設置されたら、次はWi-Fiルーターの設置と設定を行います。有線のインターネット環境を無線に変換し、オフィス内のさまざまな機器がワイヤレスで接続できるようになります。

まずWi-Fiルーターの設置場所を決めます。電波の届きやすさを考慮し、できるだけ中央に、そして高い位置に設置するのが理想的です。壁や金属製の家具、電子レンジなどの電波を妨げる障害物はなるべく避けましょう。オフィスが広い場合は、複数のアクセスポイントを配置することも検討します。

次にルーターとONUの接続を行います。ONUのLANポートとWi-Fiルーターのインターネットポート(WAN)をLANケーブルで接続します。ルーターの電源を入れ、正常に起動することを確認します。

続いて基本設定を行います。多くのWi-Fiルーターは、PCやスマートフォンのブラウザから設定画面にアクセスできます。以下の項目を設定します。

  • インターネット接続の設定(PPPoE認証情報など)
  • Wi-Fiネットワーク名(SSID)の設定
  • パスワード(暗号化キー)の設定
  • セキュリティ方式の選択(WPA2またはWPA3が推奨)

法人利用では追加の設定も重要です。

  • ゲスト用ネットワークの作成(来客用と業務用を分離)
  • MACアドレスフィルタリング(許可した機器のみ接続可能に)
  • 帯域制御(重要な業務アプリケーションに優先度を設定)
  • VPN設定(リモートワーク用)
  • ファイアウォール設定(不正アクセス防止)

設定完了後は動作テストを行います。異なる場所で複数の端末から接続し、インターネットの速度と安定性を確認します。特に会議室など重要なエリアでは念入りにチェックしましょう。

最後に設定情報のバックアップを取ることをお忘れなく。ルーターの故障や設定変更時に復元できるよう、設定内容を文書化してセキュアな場所に保管しましょう。専門知識に不安がある場合は、IT支援サービスや回線事業者のサポートを利用することをおすすめします。

導入ステップ 主な内容 重要ポイント 目安時間/期間
導入前の計画と準備 ・接続機器数と種類の把握
・同時接続台数の見積もり
・主な用途の明確化
・オフィス構造の確認
・セキュリティ要件の決定
・将来の拡張性を考慮した設計
・複数アクセスポイントの必要性検討
・初期費用と月額費用の試算
・メッシュWi-Fi導入検討
1~2週間程度
光回線の引き込み工事 ・事前調査
・外部工事(建物までの配線)
・内部工事(ONU設置場所までの配線)
・ONU設置
・開通確認と動作テスト
・建物構造による工事方法の違い
・美観と安全性を考慮した配線
・管理会社の立会いや許可確認
・ひかり電話の通話テスト
事前調査:1日
工事:2~4時間
(複雑な場合は1日以上)
Wi-Fiルーターの設置と設定 ・設置場所の選定
・ONU接続
・基本設定(SSID、パスワード等)
・業務用追加設定
・動作テスト
・設定情報のバックアップ
・電波の届きやすい中央
・高所に設置
・障害物を避ける
・業務用/ゲスト用ネットワークの分離
・セキュリティ設定(WPA3推奨)
・複数端末での接続テスト
設置:30分~1時間
設定:1~2時間
テスト:1時間程度
【参考サイト】https://flets.com/first/kouji/single_unit.html
【参考サイト】https://flets-w.com/construction/

効率的な法人Wi-Fi環境構築のポイント

法人向けWi-Fi環境の構築では、単に接続できるだけでなく、業務効率とセキュリティのバランスが重要です。特に注意すべきは適切なネットワーク設計です。業務用とゲスト用のネットワークを分離したり、重要なデータを扱う部署と一般業務を行う部署でアクセス権限を分けたりすることで、情報漏洩リスクを軽減できます。

また、定期的なファームウェアの更新やセキュリティ対策の見直しも欠かせません。将来の拡張性も考慮し、スケーラブルな設計を心がけましょう。

オフィスレイアウトに合わせた配置計画

効率的なWi-Fi環境を構築するには、オフィスレイアウトに合わせた適切なアクセスポイントの配置が不可欠です。まず、電波の障害となる要素を把握しましょう。コンクリート壁、防火扉、大型キャビネット、水回り(キッチンや給湯室)などは電波を弱めます。また、エレベーターシャフトや電気室など、電磁干渉を起こす可能性のある場所も避けるべきです。

理想的なアクセスポイントの配置には、サイトサーベイ(現地調査)が効果的です。専用のツールを使って電波強度を測定し、最適な設置位置を特定します。自社で行う場合は、スマートフォンのWi-Fiアナライザーアプリを使って簡易的な測定も可能です。

オフィスの広さや形状によっては、複数のアクセスポイントが必要です。一般的な目安として、1つのアクセスポイントでカバーできる範囲は障害物がない環境で半径10〜15メートル程度です。複数のアクセスポイントを設置する場合は、電波の重複を最小限に抑えるチャンネル設計も重要です。

特に注意が必要なのは高密度エリアです。会議室やオープンスペースなど、多くの従業員が同時に利用する場所では、より高性能なアクセスポイントを設置するか、複数のアクセスポイントで対応する必要があります。

また、将来のオフィスレイアウト変更も見据えた柔軟な設計を心がけましょう。天井埋め込み型や壁掛け型などの固定式アクセスポイントと、移動可能なタイプを組み合わせることで、レイアウト変更にも対応できます。

最後に、見た目や安全性も考慮して、ケーブル類は天井裏や床下を通すか、適切なケーブルカバーで保護することをおすすめします。

セキュリティ対策の重要性

法人向けWi-Fi環境では、個人利用以上にセキュリティ対策が重要です。適切な対策を施さないと、情報漏洩や不正アクセスなどの深刻なセキュリティリスクにさらされる可能性があります。

最も基本的な対策は強固な暗号化です。現在の標準はWPA2以上で、可能であれば最新のWPA3を採用しましょう。パスワードは複雑で長いものを設定し、定期的に変更することをおすすめします。

次に重要なのがネットワークの分離です。業務用、ゲスト用、IoT機器用など、用途や重要度に応じて複数のSSIDを設定し、それぞれにアクセス制限を設けましょう。特にゲスト用ネットワークは社内システムにアクセスできないよう、完全に分離することが望ましいです。

アクセス制御も効果的です。MACアドレスフィルタリングを利用して、登録された機器のみ接続を許可する設定や、接続時間の制限、特定のWebサイトやサービスへのアクセス制限なども検討しましょう。

定期的な監視と更新も欠かせません。ルーターやアクセスポイントのファームウェアを最新の状態に保ち、セキュリティホールを塞ぐことが重要です。また、接続履歴やトラフィックを定期的に監視し、不審なアクセスがないか確認しましょう。

さらに高度なセキュリティが必要な場合は、802.1X認証の導入も検討します。各ユーザーが個別の認証情報でネットワークにアクセスできるようになり、アクセス権限の細かい管理が可能になります。

最後に、セキュリティポリシーの策定と教育も重要です。従業員にWi-Fi利用のルールやリスクを理解してもらい、セキュリティ意識を高めることで、人的ミスによるリスクを軽減できます。

コスト削減と業務効率化のバランス

法人向けWi-Fi環境の構築では、初期コストと運用コストを抑えつつ、業務効率を高めるバランスが重要です。まずは実際のニーズに合わせた適切な投資を心がけましょう。必要以上に高機能な機器を導入すると無駄なコストがかかる一方、性能不足の機器では業務に支障をきたす可能性があります。

コスト削減のポイントとして、段階的な導入が効果的です。最初は基本的な環境を整え、業務の状況や従業員の反応を見ながら徐々に拡張していく方法です。たとえば、最初は主なエリアにのみアクセスポイントを設置し、必要に応じて追加していくアプローチが考えられます。

また、通信事業者のビジネス向けプランを比較検討することも重要です。単にインターネット回線だけでなく、Wi-Fi機器のレンタルやセキュリティサービス、保守サポートなどがセットになったプランを選ぶと、トータルコストを抑えられる場合があります。

業務効率化の面では、Wi-Fi環境を活かしたペーパーレス化やモバイルワークの推進が効果的です。タブレットやスマートフォンを活用した業務アプリケーションの導入や、クラウドサービスの利用により、場所を選ばず作業できる環境が実現できます。

さらに、IoT機器やスマートデバイスの活用も検討しましょう。Wi-Fi環境があれば、スマートスピーカーを使った会議室予約システムや、センサーによる空調・照明の自動制御など、オフィスの効率化や省エネにつながる仕組みを導入できます。

ただし、効率化を追求するあまりセキュリティが疎かになると、情報漏洩などのリスクが高まります。セキュリティと利便性のバランスを常に意識し、定期的な見直しを行うことが重要です。

運用面では、簡単な障害対応やメンテナンスを社内で行える体制を整えることで、外部サポートへの依存度を下げ、コストと対応時間の両方を削減できます。基本的なトラブルシューティングマニュアルの作成や担当者への教育が効果的です。

効率化ポイント 主な内容 重要ポイント 推奨対策
オフィスレイアウトに合わせた配置計画 ・電波障害要素の把握
・サイトサーベイの実施
・アクセスポイントの最適配置
・高密度エリアの対策
・壁、防火扉、水回りは電波を弱める
・1アクセスポイントで半径10~15m程度カバー
・複数AP設置時はチャネル設計が重要
・将来のレイアウト変更を見据えた柔軟性
・Wi-Fiアナライザーでの電波強度測定
・会議室など人が集まる場所は高性能APを設置
・固定式と移動可能なAPの組み合わせ
・ケーブル類は天井裏や床下配線で保護
セキュリティ対策の重要性 ・強固な暗号化
・ネットワークの分離
・アクセス制御
・定期的な監視と更新
・セキュリティポリシー
・WPA3暗号化推奨
・業務用/ゲスト用の完全分離
・MACアドレスフィルタリング
・不審アクセスの監視
・従業員への教育
・複雑で長いパスワード設定と定期変更
・用途別の複数SSID設定
・ファームウェアの定期更新
・802.1X認証導入の検討
・Wi-Fi利用ルールの策定と周知
コスト削減と業務効率化のバランス ・段階的な導入
・通信事業者プランの比較・ペーパーレス化/モバイルワーク・IoT機器の活用
・社内保守体制の整備
・実際のニーズに合わせた適切な投資
・セキュリティと利便性のバランス
・総合的なコスト評価
・クラウドサービス活用
・省エネ・業務効率化との連携
・基本環境から徐々に拡張する方法
・Wi-Fi機器レンタル含むセットプラン検討
・モバイルデバイス活用による柔軟な働き方
・会議室予約システムなどの連携
・基本的トラブルシューティングマニュアル作成

FAQ

Wi-Fi環境の構築に関して、多くの企業から寄せられる疑問にお答えします。光回線の引込み工事からルーターの選定、セキュリティ対策、ひかり電話との連携など、さまざまな観点からよくある質問とその回答をまとめました。

専門的な内容もできるだけわかりやすく解説していますので、Wi-Fi環境の導入を検討されている法人の方は、ぜひ参考にしてください。不明点があれば、個別にご相談いただくことも可能です。

Q1. Wi-Fi環境の構築に必要な光回線の引込み工事は、どのくらいの期間がかかりますか?

法人向けWi-Fi環境のための光回線引込み工事には、申込みから開通まで通常2週間〜1ヶ月程度かかります。具体的な期間は建物の状況や地域、時期によって異なります。

まず、申込み手続きから工事日調整までに3〜7営業日ほどかかります。その後、実際の工事日までの期間は工事業者のスケジュールや地域の混雑状況によって変動します。特に年度末や年度始め(3〜4月)、引っ越しシーズンなどの繁忙期は予約が取りにくくなるため、余裕を持ったスケジュール調整が必要です。

建物の状況も工期に影響します。すでに光回線が引き込まれているビルやマンションなら比較的スムーズですが、初めて引き込む場合は追加の工事が必要となり、時間がかかることがあります。特に建物の構造上、配線経路の確保が難しい場合や、複数階にまたがる工事が必要な場合は、追加の日数が必要です。

また、賃貸物件の場合は建物オーナーや管理会社の許可取得に時間がかかることもあります。この許可申請は通常、回線事業者が代行してくれますが、スムーズに進めるためには事前にオーナーや管理会社に確認しておくことをおすすめします。

急ぎで回線が必要な場合は、一部の通信事業者が提供している「開通工事までの間のモバイルルーターレンタルサービス」を利用する方法もあります。開業や引っ越しのスケジュールが決まっている場合は、少なくとも1〜2ヶ月前から準備を始めることをおすすめします。

Q2. Wi-Fiルーターの設置だけで、ひかり電話と無線LANを同時に利用できますか?

はい、Wi-Fiルーターの設置によって、ひかり電話と無線LANを同時に問題なく利用することができます。ただし、正しい接続方法と設定が必要です。

一般的な構成としては、「光回線→ONU(ひかり電話機能内蔵)→Wi-Fiルーター→各種無線機器」という接続になります。ONUはひかり電話機能を内蔵している場合が多く、電話機はこのONUに直接接続します。ONUのLANポートからWi-Fiルーターのインターネットポート(WAN)に接続することで、インターネットと電話の両方が利用可能になります。

接続時に注意すべき点としては、ONUとWi-Fiルーターの接続に使用するLANケーブルの品質です。カテゴリー5e以上のLANケーブルを使用することで、高速通信が可能になります。また、Wi-Fiルーターの設置場所も重要です。電波の届く範囲を最大化するために、なるべく中央の高い位置に設置することをおすすめします。

Wi-Fiルーターの設定画面では、インターネット接続方式を「PPPoE」に設定し、プロバイダから提供されたIDとパスワードを入力します。また、Wi-Fiの暗号化方式はセキュリティの観点から「WPA2」または「WPA3」を選択し、強固なパスワードを設定しましょう。

なお、ひかり電話の音声品質はインターネットの利用状況に影響を受ける場合があります。多数のデバイスが同時に大容量データをダウンロードしているときなどは、通話品質が低下する可能性があります。このような場合は、Wi-Fiルーターの「QoS(Quality of Service)」機能を活用して、電話通信を優先するよう設定することで改善できます。

Q3. オフィス内の電波が届きにくい場所がありますが、どのように改善できますか?

オフィス内に電波の届きにくいエリア(デッドスポット)がある場合、いくつかの効果的な改善方法があります。状況に応じて最適な方法を選択しましょう。

最も一般的な解決策は中継器(リピーター)の設置です。これは既存のWi-Fi信号を受信して再送信する装置で、メインのWi-Fiルーターからの電波が届きにくいエリアに設置します。比較的安価で簡単に導入できますが、電波の中継によって通信速度が低下するため、重要度の低いエリアでの利用に適しています。

より本格的な対策としては、メッシュWi-Fiシステムの導入があります。複数のアクセスポイントが相互に連携し、シームレスなネットワーク環境を構築するシステムです。ユーザーは建物内を移動しても自動的に最適なアクセスポイントに接続されるため、通信が途切れにくくなります。初期投資は高めですが、安定した環境を構築できます。

また、アクセスポイントの増設も効果的です。デッドスポットのあるエリアに有線LANを引き込み、そこに追加のアクセスポイントを設置する方法です。有線接続するため通信速度の低下が少なく、高品質な接続が可能になります。ただし、LANケーブルの敷設工事が必要な場合があります。

設置場所の最適化も重要です。既存のWi-Fiルーターの位置を見直し、なるべく中央の高い位置に移動させたり、障害物を避けたりすることで、電波の届く範囲を改善できることがあります。また、ルーターのアンテナの向きを調整するだけでも効果が見られる場合があります。

さらに、Wi-Fiルーターのチャンネル設定の最適化も有効です。近隣のオフィスや店舗のWi-Fi信号と干渉している可能性があるため、Wi-Fiアナライザーアプリなどを使って混雑の少ないチャンネルに変更することで、電波状況が改善することがあります。

大規模なオフィスや複雑な構造の建物では、専門業者による電波環境調査を依頼することも検討すべきです。科学的な測定に基づいた最適なアクセスポイント配置を提案してもらえます。

当社サービス利用者の声

当社のWi-Fi環境構築サービスをご利用いただいたお客様から多数の喜びの声をいただいています。店舗や事務所などさまざまな業種のお客様に、光回線の引込み工事からWi-Fi環境の設定まで、トータルでサポートしてきました。お客様からは「作業を全て任せられて楽だった」「店舗の開店に間に合って良かった」などの感謝の言葉をいただいています。

ビジネス環境に最適なWi-Fi設計と、安心のサポート体制で、多くのお客様にご満足いただいております。お気軽にご相談ください。

飲食・宿泊業 カフェ&ダイニング ギリギリ 様

「店舗用のWi-Fi環境を整えるため、インターネット回線の導入を検討していました。しかし、どの業者に依頼すべきか迷っていたところ、信頼できる対応が決め手となり、当社に依頼いただきました。

カフェ&ダイニング ギリギリ様は、開業準備の忙しい時期でしたが、当社がワンストップで光回線の引込み工事からWi-Fi環境の構築まで対応。「どのサイトを見てもインターネットの月額利用料が変わらないので、一番信頼できそうな会社にお願いしました」とのお言葉をいただきました。

特に評価いただいたのは、飲食店特有のニーズに合わせた提案です。店内で顧客が利用するゲストWi-Fiと、スタッフが使用するPOSシステム用の業務用Wi-Fiを分離して設計しました。「セキュリティ面も考慮されていて安心です。また、キッチンエリアも含めて店内全体で安定した接続ができるようになりました」と喜びの声をいただいています。

現在は、オンライン予約システムやキャッシュレス決済、顧客向けのフリーWi-Fiサービスなど、快適なネットワーク環境のもとで店舗運営されています。「導入してよかった。次の出店時もぜひお願いしたい」とのお言葉もいただき、長くお付き合いさせていただいております。」

サービス業 HAIR SALON GPS 様

「美容室の開業にあたり、まずは固定電話の導入だけを検討されていたHAIR SALON GPS様。当社のコンサルタントが将来を見据えたご提案をさせていただいた結果、ひかり電話とWi-Fi環境を同時に導入していただきました。

「最初は電話だけを考えていましたが、予約システムやSNS更新、店内でのBGM配信サービスなど、インターネットも必要だと気づかされました。同時に手配することで、トータルの費用を抑えられたのが良かったです」とお喜びの声をいただきました。

特に美容室ならではのニーズとして、顧客管理システムや予約管理システムの導入も視野に入れていたため、安定した高速回線が必要でした。当社では光回線とひかり電話をセットで導入し、さらに店内Wi-Fi環境も整備。「待合スペースでお客様がスマホを快適に使えるようになり、サービス向上にもつながりました」と好評です。

また、「スタイリストがタブレットで施術例を見せながら接客できるようになり、お客様の要望をより正確に理解できるようになりました」とビジネス面での効果も実感いただいています。さらに、シャンプー台や施術スペースなど、店内のどこにいても安定した接続が可能なよう、アクセスポイントの配置にもこだわりました。

開業後の集客面でもウェブサイトやSNSの活用をサポートし、オンライン予約システムの導入までトータルでお手伝いさせていただきました。」

不動産業 株式会社Life innovation 様

「不動産業界では、物件情報の検索や顧客管理、契約書類の電子化など、インターネット環境が業務の中核を担っています。Life innovation様は新規オフィス開設にあたり、通信環境だけでなく業務効率化のための総合的なソリューションをお求めでした。

「Wi-Fi環境と固定電話だけでなく、複合機やビジネスフォン、顧客管理システムまで含めて相談できたのが助かりました」とご評価いただいております。当社では、光回線の引込み工事からWi-Fi環境の構築、オフィス機器の導入、さらには業務システムの提案まで、ワンストップでサポートいたしました。

特に評価いただいたのは、物件検索サイトの閲覧や高解像度の物件写真のアップロードにも対応できる高速Wi-Fi環境の提案です。「以前のオフィスではWi-Fiの速度が遅くストレスを感じていたが、今は複数のスタッフが同時に使用しても快適」との声をいただいています。

また、将来的な拠点拡大も視野に入れた拡張性のあるネットワーク設計を行い、新店舗の追加時にもスムーズに対応できる体制を整えました。「全てまとめてお願いする事が出来ました。ビジネスパートナーとして今後とも取引は大切にしたいですね」とのお言葉もいただき、継続的なサポートを提供しています。

セキュリティ面でも、機密性の高い顧客情報を扱うため、強固なファイアウォール設定や定期的なセキュリティチェックを導入し、安心して業務に集中できる環境を実現しました。」

まとめ

法人向けWi-Fi環境の構築は、現代のビジネスにおいて重要な基盤となります。ここでは、光回線の引込み工事からWi-Fiルーターの選定・設置、ひかり電話との同時利用方法、そして効率的なネットワーク構築のポイントまで解説しました。

特にセキュリティ対策業務効率化のバランスが重要です。Wi-Fi環境を適切に構築することで、ペーパーレス化やモバイルワークの推進、顧客サービスの向上など、さまざまなビジネスメリットが得られます。

導入にあたっては、専門業者のサポートを活用し、将来の拡張性も考慮した設計を心がけましょう。快適で安全なWi-Fi環境が、御社のビジネス成長を支援します。